環境問題|サスティナブル

海洋プラスチック問題ってなに?

私たちの生活のあらゆる場面で利用されているプラスチック。手軽で耐久性に優れていて安価に生産できることから、製品そのものだけでなくビニールや発泡スチロールなどの包装や梱包などにも幅広く使われており、SUP中に浮遊するペットボトルやビニール袋に出会うことも少なくありません。

プラスチックの多くは「使い捨て」されており、利用後にきちんと処理されず環境中に流出してしまうことも少なくありません。そして、環境中に流出したプラスチックのほとんどが河川などに流れ、最終的に行きつく場所が「海」です。

既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トン。そこへ少なくとも年間800万トン(重さにしてジャンボジェット機5万機相当)が、新たに流入していると推定されています。

流出したプラスチックごみは海岸で波や紫外線の影響を受けるなどして、やがて小さなプラスチックの粒子となります。5mm以下になったプラスチックは「マイクロプラスチック」と呼ばれていますが、これらは細かくなっても自然分解することはなく、数百年間以上もの間、自然界に残り続けると考えられています。
マイクロプラスチックは、日本でも洗顔料や歯磨き粉にスクラブ剤として広く使われてきたプラスチック粒子(マイクロビーズ)や、プラスチックの原料として使用されるペレット(レジンペレット)の流出、合成ゴムでできたタイヤの摩耗やフリースなどの合成繊維の衣料の洗濯などによっても発生しています。

プラスチックの年間生産量は、過去50年で20倍に増大しましたが、これまでにリサイクルされたのは生産量全体のわずか9%に過ぎません。そして、これらのプラスチックは自然界の中で半永久的に完全に分解されることなく存在し続けます。

この問題になっている海洋プラスチックの8割以上は、陸上で発生し海に流入したもの。特に多いのが、使い捨て用が中心の「容器包装用等」。この用途に使われるプラスチックは、世界全体のプラスチック生産量の36%、世界で発生するプラスチックごみの47%を占めていると考えられます。

2050年、海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る?

ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは、海へ流入している海洋プラスチックごみは、アジア諸国からの発生によるものが全体の82%を占めるとしています。同フォーラムは、2050年にはプラスチック生産量はさらに約4倍となり、それに応じた海洋へのプラスチック流出の拡大により、「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」というショッキングな予測を発表しています。
日本はプラスチックの生産量で世界第3位。特に1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量については世界第2位と、この問題に国際的な責任を持たなければならない立場にあります。コンビニの普及もあり、国内で年間に流通するレジ袋の枚数は推定400億枚で、一人当たり1日約1枚のペースで消費されています。また、ペットボトルの国内年間出荷は227億本に達します。

日本では廃棄されるプラスチック(廃プラ)の有効利用率が84%と特に進んでいるとされていますが、全体の57.5%はサーマルリサイクルという処理方法に頼っています。つまり、化石燃料を燃やしてCO2排出しているということなので、今後ますます深刻化する地球温暖化への対策まで含めた視点で見たときに、とても資源が有効かつ持続可能な方法で利用されているとは言えません。

私たちが「利便性」や「安さ」を追求してきたライフスタイルが汚染の源となっていること。流れてしまったプラスチックをすべて海から除去することはもうできないということ。そんな環境を子どもたちに残してしまうこと。あなたはどう感じたでしょうか。