風に弱いSUPを安全に楽しむために
2021-11-29
海・湖・川と場所を選ばず、ボードとパドルだけで手軽に楽しめるSUPですが、とにかく風に弱く、風を甘く見てしまうとボードが風に流されて「漂流」や「遭難」につながる恐れがありますので、風に対する基礎知識を十分身につけておきましょう。
風が前方から吹いてくると、どんなに頑張って漕いでも前に進むことが非常に難しくなります。一方、背後から風が吹いてくると、そのまま風の力に押し流され、SUPは意にそぐわない風下へとどんどん進むことになります。特にインフレータブルボードは横からの風に弱く、前方に向かって漕いでいるにもかかわらず、ボードが風下である横方向へ流されていく「横流れ」という現象が起きます。
日本の天気予報では、風の強さを1秒あたりに風が進む距離「m/s(メートルパーセコンド)」で伝えています。台風などが来る前に「風速20m」などとニュースで伝えますが、これは秒速を省略しているのです。目安となる判断方法を覚えて、漕ぎ出す前や、水面で風が吹いてきた時の参考にしてください。
● 風速0m/s「平穏」→初心者のSUP向きコンディション
煙がまっすぐ立ち上る無風状態、鏡のような水面。
● 風速1m/s「至軽風」→SUP向きのコンディション
煙が少したなびく、水面にさざ波が立つ状態。
● 風速2m/s「軽風」→SUP初心者は注意するコンディション
そよ風を顔に感じる、吹き流しが動き出す状態。
● 風速3m/s「軟風」→SUP初心者には向かないコンディション
ところどころに白波が現れる、小波の大きいものが波頭が砕けはじめる状態。
● 風速4m/s「和風」→SUP初心者は流されるコンディション
髪の毛が風下へたなびく、白波が多くなる。
● 風速5m/s「疾風」→SUP初心者には危険なコンディション
髪の毛が乱れる、水面一面に白波が生じる。
SUPで漕ぎ出す前に、風の向きや強さをチェックすることが基本ですが、風は常に同じ一定の強さで吹いているわけではありません。風の特徴は呼吸をするように、強くなったり弱くなったりします。風が呼吸する状態を「ブロー」と呼び、「ブローが強い」「ブローが弱い」といった使い方をします。風が強くなる場合は、はじめのうちは広い間隔で強いブローが入っていても、だんだんとブローの間隔が狭まり、やがて一定して風が強く吹き出すことがあります。水上でブローを感じたら、風が強くなる前兆として捉え、なるべく早く岸に戻ることが必要です。
また、急激な風の変化で風下に流された場合は、一番楽に目指せる岸(風下)を目指すことが基本です。最初にSUPを出した場所から離れていても、その場所が風上にある場合は戻ることができません。風下に岸がない場合は、目指すことが可能な岸を目標にしましょう。風に流される可能性を考えて、携帯電話などの通信機器を携行することもおすすめです。
風に流されることは、場合によっては命に直結することになります。特にSUP初心者は風を侮らず、風のない日を選んで、安全に楽しみましょう。